自己紹介は大切である。
万物は自己紹介から始まっているので、これはその後の人生を大きく左右するイベントだ。
下手にウケを狙って滑ると地獄、淡々と進めると友達はできず、皆が場の空気を探り合うあの瞬間。
人生で自分の自己紹介に満足できたことがない。
特に私はあがり症なところがあって、人前はてんでダメだ。顔にあまり出ないので誰からも理解してもらえないのがとにかく困る。私の心拍音を聞いてほしいくらいだ。
私はこの魔のイベントに挑んで帰ってこれなかったオタクをたくさん知っている。ここでカミングアウトしなかったとしても待ち構えているのは、語り合う仲間のいない孤独な学生生活なので、兎にも角にもこの世は本当に恐ろしい。
学生の時、「趣味は寝ることです。」と言ったら先生にソレはやめなさいって言われたことも覚えている。
人生寝てるときが一番ストレスがないのだから、別に趣味が睡眠でもいいだろうと今でも思っている。
そんなこんなで私にとって自己紹介というのはできれば避けたいイベントなわけだ。
できればもう二度と自己紹介なんてしたくないが、私が新しい場所に行かずとも誰かが私のいる場所に来たらこのイベントは強制的に開始される。
まだ自分のホームだから救いはあるが、別に味方が助けてくれるわけでもないので数の分散で目立っていないだけ。
なくなって欲しいイベントランキングではいつもバレンタインといい勝負をしている。
今日紹介するのはスペイン語で「自己紹介するときに使えそうな」おもしろ単語。
中でも結構攻めていて、ウケを狙うときにしか使えなさそうなやつ。
個人的には、自分からこんなこと言ってくる人とは仲良くなれない気がする。怖いから。
もちろん「陽気な」とか「人見知りの」とかそんなありきたりな単語ではない。(そういう単語を紹介するときは、もっと別の話もしたいし)
そんなわけで今日の単語。
A. はじめまして。私の名前は〇〇、僕の性格は『墓』です。
こえーよ。なんでそうなるんだ。生きてる人間かどうかもわかんなくなっちゃうじゃん。
脚透けてないかなとか、鏡に写るかなとか気になってその後に紹介何も入ってこないよ。
幽霊とか悪魔よりも人間味がなさすぎてより怖い。
動く墓を見たことがないので(?)どんな性格かもよくわからない。怖さだけは伝わってくる。
こういうときは"墓"という単語の持つイメージを上げていくと納得がいく。
墓=怖い、暗い、お化け、静か、不気味、灰色、夜、肝試し...。
この中で性格に使えそうなのはまぁせいぜい「静か」「不気味」くらい。
一番近いのは「静か」かな。でも墓がその程度で終わるわけはない。
この単語の意味は、『遠慮しがちな無口の人』。
墓が喋ればそりゃ怖い。もうそれは昔の怪談話。
「死人に口なし」という言葉があるように、無口な人というのはとても理に適っている。
そりゃ遠慮するだろう、死んでるんだから。遠慮してくれ、怖いから。という感じである。
凄い人気者になるか、とんでもなくヤバい奴になるかの二択。
私は後者だと思っちゃうな。お化け苦手だから。
しかも、この謎の使い方がスペイン語話者的には結構ナチュラルというのが面白い。
自己紹介で何人も自分のこと墓とか言い出したら、死後の世界かと勘違いしそう。
ちなみに「無口」から「口が重い」や「秘密を守る」なんて意味も持っている。
まさに日本語の「墓場まで持っていく」だ。
まぁ、持っていくどころか墓そのものなんですけどね。
大人しくて自分に自信がない人も、こんなトリッキーな自己紹介にチャレンジしてみたら、世界がガラッと変わるかもしれない。
でも無口な人はきっと、こんなパンクな自己紹介しない。
まず、そんな勇気がある人は絶対に墓じゃないし。

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